石徹白Life724日目【白山信仰&集落生活ガイド】2019年12月11日(水)~12日(木)

2019-12-12
191212白山信仰&集落生活ガイドー集合写真ー藤屋旅館
1泊2日で霊峰白山の南麓にある「石徹白(いとしろ)地区」を訪問したインバウンド(訪日外国人旅行)モニターツアーご一行さま。昨夜は鍋と幻の「肉漬け」を堪能されました。
これは国交省(中部運輸局 事務局:三菱UFJリサーチ&コンサルティング)による長良川流域の資源を活用した周遊コンテンツ造成で、
日本列島の各地で増えているインバウンド対応の準備です。
今回は「白山信仰」をテーマに美濃禅定道を巡っているそうです。
参加者はスペイン、アメリカ、イタリア、ウクライナからやってきて、
既に10年以上、中には20年、30年以上も日本に住んでいらっしゃる方々です。
日本語ペラペラです。
私は「現地案内人およびアドバイザー」として、
企画相談、事前準備、当日のご案内などをさせていただきました。
直前のご相談でしたが、なんとかトリプルヘッダーの予定を調整できて
蒲さん、ジョシュアさん、Tさん、Kさんのチームに
関わることができて嬉しいです。
もちろん!?いつもの行者姿(ガイド時の定番となってきた)です。
そして!!参加者の皆さんも一緒に菅笠と半被に杖のスタイルを提案。
快諾いただき、出発前にパチリ!
仮面や化粧や衣装など。
ちょっとしたことですが、コスプレと侮るなかれ。
ヒトは自他が気づかないほど様々な面を持っています。
きっかけさえあれば、多様性を発揮したり、
新たな視点や関わりが生まれるのではないでしょうか。
石徹白での出逢いや発見を心の内面も含めて
楽しんでいただければ幸いです。
さてご存じの方もいらっしゃいますが、石徹白地区は
隣の集落から12km離れています。
病院やコンビニまでは約20km。
山奥ゆえに天気予報があたりにくい時があります。
「郡上市」では、55km先の役場本庁がある「郡上八幡」になってしまうし、
それでは標高300mは違います。桜の開花で言えば1ヶ月の差があるほど。
さらに桧峠という分水嶺を越えてこちらは日本海側です。
今回、参加者および関係者の皆さんは
想定外の冷たい雨が降っている中、傘が無いという状況が伝わってきました。
・・・ということで、旅館だけでは足りず、
我が家と住民の傘を急遽、手配準備しました。
困った時に、臨機応変でなんとかできるのも、
現地在住のガイドならではと言えるかもしれません。
同時に、石徹白の季節感や直近の道路、降雪、気温などは、
さらに発信や共有が必要だと再認識しました。
さて、藤屋旅館でみなさんと合流して、徒歩で「大師堂」へ向かいます。
ここでは、1300年前の奈良時代に白山を開山された「泰澄大師」の木造や
800年前に奥州藤原氏が寄進したと伝えられる虚空蔵菩薩坐像(国重文)を
拝観します。
岐阜県下一の秀作であり、「国の重要文化財」に指定されています。
奉納当時は「白山中居神社」に安置されましたが、
その際には「上村十二人衆」と称する選りすぐりの家来をこの地に派遣し、
この大事な「虚空蔵菩薩坐像」を守らせたとされています。
講元の上村修一さんは仏像を運んできた方々の子孫です。
84歳とは思えない動きで長くて滑りやすい石段を元気に昇り降りされ、
年号も明確に、様々な質問にも答えてくださいます。
毎回、お客様の要望や様子を見ながら、お話しする内容も
少しずつ違うので私自身も、毎回、メモをとりながら学んでいます。
http://outdoor.itoshiro.net/2019/03/26/
金色に輝く虚空蔵菩薩坐像だけでなく、円空仏や
織田信長が寄進した鰐淵なども興味津々で皆さん覗き込んでいました。
191212白山信仰&集落生活ガイドー大師堂ー虚空蔵菩薩坐像
地形だけでなく、歴史も伝統も「奥深い」ということが
石徹白の一つのキーワードだと思います。
大師堂から先も当初は歩きながらという案がありました。
しかし、気温、降雨、前夜の参加者希望ヒアリングなどもあり、
マイクロバスで再出発。
191212白山信仰&集落生活ガイドーバス車内
私も乗り込んで、集落の暮らしや地域づくりのことなども織り交ぜつつ
北へ向かいます。
車で通過すれば1分のところも、たくさん話せることはあります。
主催者のご希望や参加された皆さんの様子を感じながら進みます。
その中でも今回のテーマである白山信仰は「水」が大きな柱です。
厳しい冬の降雪が、やがて豊かな恵みとなる。
大きな4つの河川が文字通り四方へ水を分配しています。
その源流の一つである石徹白地区。
「湧き水」をはずすわけにはいきません。
集落内に私が知っているだけで8ヶ所ありまして、
今回は「神明清水」を訪問しました。
これだけ豊かな水に囲まれて暮らしている日本列島というのは、
実はかなり世界的に見ても恵まれているのです。
石徹白も静けさと共に、水に生かされていることが実感できます。
小水力発電を横目に見ながら、白山中居神社に到着。
巨樹巨木の森と宮川の美しさを愛でながら、参拝。
ここの空気感は地域も世代も越えて、
静謐さと聖域であることを感じさせてくれます。
もう言葉がいりません。
191212白山信仰&集落生活ガイドー浄安杉への巡礼
さて、ここから「浄安杉」へ300mの尾根道を辿ります。
白山信仰のお世話をしていたお坊さん「浄安」が関わり、
埋蔵金伝説もある巨木です。
樹齢1000年以上と言われ、
幹回り12.45m(2000年に計測)という記録もある威容。
人間の寿命を遥かに超えた存在を認識し、
「六根清浄」の声も止み、息遣いだけが聞こえる対面となりました。
私はガイドするときに、こうした瞬間がとても好きです。
人が説明したり、語ることよりも、さらに大切なのは、
その場に居るということ。
一緒に歩いた方が何を感じているのかということ。
沈黙こそ対話の一極であると思うからです。
191212白山信仰&集落生活ガイドー浄安杉と小人2人
下山するころには降っていた雨も止んできて、
森に陽が射してきました。
木々を伝う雫や枝先の輝きが私達の行く手を祝福しているかのようでした。
歩いて、ちょうどいい感じにお腹が減りましたので、
下りながら「山の中で食べられるものはあるか?」という質問もありまして。
それは私の大好きな分野!
坂道を転げ落ちない程度に、山菜やキノコ、薬草などをご紹介しておきました。
お昼ご飯は、集落唯一の飲食店「カフェ&居酒屋 Magoemon」です。
私はここで、お役御免。
みなさんと握手で次の予定に出発しました。
ちなみに昼食後のツアーは白山中居神社で正式参拝をされました。
「日本人よりも玉串奉典など、所作が素晴らしかった。
興味深く話を聴いてくれていた。」
そんなことも後で伺いました。
大混雑で日常生活にも支障をきたすような観光地が増えている中で、
石徹白地区の楽しみ方やインバウンド(訪日外国人旅行)の在り方を
あらためて考える機会となりました。
参加された方々から、
「すごく綺麗な川だ」とか、「また来たい!」とか、
「石徹白って本当に楽しい場所ですね!」という言葉もいただけて、
超イイね!が伝わったようでとても嬉しいです!
あー楽しかった!
あれこれ試行錯誤を経て、形になっていく過程の喜びと苦労。
今後も楽しみです!ありがとうございましたー。
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【白山信仰や集落生活のご案内】
国内外を問わず石徹白を訪問される方のご要望をたまわります。
1時間程度から宿泊コースまで。
あなたのご希望をうかがいながら
単なる観光にとどまらないガイドをさせていただきます。
お問合せお待ちしております。
秋から冬の石徹白イベント情報
http://outdoor.itoshiro.net/2019/10/04/
2020年2月15日(土)「星降る里のキャンドルナイト」
2月16日(日)「雪遊び交流会」
石徹白地区 公式ホームページ http://itoshiro.net/
いとしろアウトドアビレッジ http://outdoor.itoshiro.net/
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